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1通の手紙

それを認めることは私にとっては恥ずかしいことだが、彼の手紙が出てくるまで、私は友人のアトラスのことを少しの間も考えたことはなかった。 過去を振り返ってみると、それは私に奇妙な印象を与えている。なぜならアトラスは確かに私が今までにあった中でもっともユニークな人間のひとりだからだ。彼は全ての創造物の中で、夢にも思わなかったような不思議なものを私に見せてくれるだけでなく、ほとんど絶滅したも同然の人間の種族に生まれたと主張している。その種族とは”D'ni”といい地球の中心にある洞窟に住んでいた。 彼が最初にこの驚くべき知識を私と共有したとき、「私は夢と話し合う事で、あるいはひょっとすると人間に形を変えた悪魔そのものと話し合う事で、自分の魂を危険にさらしているのではないかという考えが私の心をよぎった」ということを私は白状しよう。だが笑いとともにアトラスはこの考えを吹き飛ばし、「理性の時代」に生きているという事を主張しながら、そのようなことを信じた私をたしなめた。 アトラスに会った喜びを持つものなら誰でも、私にとって心優しい人が悪魔の使徒かも知れない、と一瞬でも考えたような私をバカだと思うだろう。しかし、彼に会ってから非常に多くの不思議な出来事や装置を目撃して、また、地球上では存在しなかったような植物や動物、あらゆる種類の乗り物、他の世界(または時代)への扉を開くような本を目にしたので、私がこの迷信的な恐れを少しでも抱いたことを恥ずかしいと思う。本当にアトラスは私と同じように理性の人であり、彼の創造した無限の時代の細かなことに常に驚いている。 しかし、彼の人生は楽なものではなかった。彼が(私が今まで会ったこともないような)失われた種族に生まれ、彼の{心痛に嫉妬した父親}によって育てられ、息子たちのシーラスとアクナーを牢獄の時代に投獄しなければならなかった。彼らが様々な時代を乱用したからである。そして、彼は彼らを投獄しただけでなく、各時代に通じる接続書を破壊した。そして彼らを永遠に閉じ込めた。 あるいは、そう信じるように私は誘導されたのだ。我々の最初の出会いから20年後-(アトラスがシーラスとアクナーの持っていたMYST島に関する接続書を破壊してから20年後)-に私は彼から手紙を受け取った。

 いったいどんな”選択肢”があったのだろうか?
どうして助けを求めている友を無視することが出来るだろうか?
彼の心に重くのしかかっていた(と私が知った)話題について、長い沈黙を必死で破りたいと願っている人を無視出来るだろうか?北アメリカ砂漠の洞窟にある彼の現在の家にいるアトラスに会うために、私はためらうことなく身支度を整えた。そして彼は、現在の家のある場所を”トマーナ”と呼んでいた