Story

 西暦2066年、地球の環境汚染は致命的なものになりつつあった。もはや地球は、人類の住むことを許されない星になったのである。
この危機に対して、最大の責任を持つ合衆国は、世界の国々と協力し、地球環境を回復させるプロジェクトに乗り出した。

 ナノ・ロボット。ナノ=10億分の1メートルという単位が表すとおり、分子サイズのロボットである。静電気を動力として働き続け、周りの分子を捕まえて仲間を作り、複雑な作業をもこなす彼らは、無から有を作り出すという神の技を持った機械である。そのナノ・ロボットを搭載した人工衛星「Ceres」を大気圏に打ち上げ、汚染の深刻な所へロボットを散布し、有害大気を無害化するという計画が実行に移された。

 計画の要となったのはライラ・カレンとマックス・パワーという分子物理学者と生化学者のコンビである。二人はお互いに夢からインスピレーションを得ていた。カレンはお役所仕事的なやりかたに反抗しなければプロジェクトは成功しないというイメージを得、マックスは機械のクモが暴走する夢を見て、機械には必ず人間が止められる機械をつけるというイメージを得たのだ。

 そしてプロジェクトは成功した。「Ceres」打ち上げから100日が経ち、ライラとマックスは計画に携わって以来の休みを愉しむため、キャンプに出かけた。これが彼らの再充電のチャンスをなるはずであった・・・奇妙な現象に遭遇するまでは。

 キャンプサイトの近くで発見した奇妙な黒い結晶。黒曜石のような鉱物に見えるところからオブシディアンと名付けられたそれは、彼らが見ている前で成長を続けていた。1日目は単なる石であった。しかし翌日には倍になっていたのだ。二人は科学者として観測を開始した。

 数日が経ち、オブシディアンは数メートルの大きさになった。

これは何なのか?中には何があるのか?空洞なのか?中に入れるのか?

テントでノートパソコンのデータを調べていたライラはマックスの叫びを聞く。オブシディアンワールドでの冒険が始まろうとしていた・・・