バランスの時代
ナラヤンは水の世界。この不安定な世界で生きながらえるために、ナラヤンに芽吹いた文明は固有の生態系を発展させています。ジェナーニンから接続書を使ってナラヤンを訪れると、床や壁が生物の一部のような部屋に到着します。半透明の壁には黒っぽいツルのようなものが巻きついていて、柱と階段には太い根が絡みついています。根は床だけでなく天井まで広がって、頑丈な十字の梁を形作っているのです。背後の壁には、5枚の赤いタペストリーがかかっていて、文明があることを証明しています。どのタペストリーにも単語とシンボルが刺繍されています。壁にはもう1枚のタペストリーが引き剥がされたような跡があります。
Memorandum
ナラヤンの生物
ナラヤンの文明は、アトラスの時代構築活動が絶頂期にあった頃に書かれた。詳細な本に従って繁栄した。 しかしナラヤンにおける人間の存在は、2つの生物の微妙な共生関係の上に成り立っている。
1つは、ナラヤンの人たちが「ラチス」ち呼ぶ藻に似た植物であり、海中の地熱孔の周辺に繁茂している。 養分をたっぷりと吸い、ラチスは太くたくましく成長して長く延びている。ラチスからは数多くのツルや枝が派生し、 中央の茎からクモの巣のように広がっている。
もう1つは生物は、空中に浮揚する巨大な胞子嚢であり、「ふくれ胞子」と呼ばれる。ナラヤンを取り巻く大気には、このふくれ胞子が たくさん生息している。ふくれ胞子は一定の周期で海中の地熱孔の付近に移動し、地熱孔から排出される高熱の炭素ガスを補充する。 炭酸ガスをいっぱいに吸い込んだ胞子は、大気に返り、海洋の上を浮揚する。 海の上で胞子は呼吸活動(単純な分子ガスの交換)を行い、ナラヤンの大気に酸素をゆっくりと排出する。